『ごいた』は、石川県の漁師町、宇出津地区に伝わる伝統ゲーム。必ず4人でプレイするゲームで、向いあった2人が組になって戦うペア戦のゲームだ。

まず、将棋の駒に似た32枚の駒を伏せ、各自8枚ずつ取る。スタートプレイヤーは、手駒から好きな駒を出して、右隣のプレイヤーに対して攻撃をしかける。攻撃を受けたプレイヤーは、「攻め」の駒と同じ駒を持っていればそれを出して「受け」ることができる。受けることができれば、新たな「攻め」の駒を出し、さらに右隣のプレイヤーに攻撃できるが、受けられる駒がない時は「なし」といって手番をパスする。受けられる駒があっても戦術的にパスをすることも可能だ。

こうして手番がぐるぐる回っていき、手持ちの駒8枚を全部出しきったプレイヤーが勝ち。この勝負を何回も繰り返し、規定の得点を達成したペアが勝利となる。他に細かいルールはいくつかあるが、基本はとてもシンプルなゲームだ。

正直な話、第一印象はあまりよくなかった。

最初にプレイした時は、ルールは理解したもののどうプレイしたら良いかがサッパリわからない。ペア戦だといっても、具体的な相談をしてはいけないので、相手の手の情報は打った結果しか見えない。どう協力すればいいかさっぱりわからず、もやもやしたまま終った。勝ったか負けたかもよく覚えていない。面白さがつかめないままで、「もうやらないだろうな」と漠然と思った。

実際、そのまましばらく『ごいた』で遊ぶことはなかったのだが、しばらくして発売された『放課後さいころ倶楽部』3巻で、再び『ごいた』に触れる。『放課後さいころ倶楽部』は、現在月刊マンガ誌『ゲッサン』に連載されているマンガで、主人公の女の子たちを中心に、毎回ボードゲームをテーマにした話が展開される。そして、3巻には『ごいた』をテーマにした話が収録されていたのだ。
まず、これを読んだことで少しイメージがかわった。

「なるほど、味方の攻めをパスすることがフォローになるのか……」

だが、この時点でもまだまだ本当の面白さはわかっていなかった。本当の転機は3巻発売記念のゲーム会に参加した時だ。その日のメインは「ごいた大会」だった。30人ほどの参加者全員で、一日中『ごいた』三昧。これがよかった。メンバーを変えながら、とにかくみんなで、ごいた、ごいた、ごいた。

徐々にゲームにも慣れてきて、おぼろげに感覚がつかめてきた何度目かのプレイの時。高得点での勝ちを意識しすぎて、ほぼ勝てるであろう試合を落した瞬間、世界が変わった。
「しまったーーーーーーーーーーー!」
もの凄く悔しかった。しなくていいギャンブルをしたことに後悔が走った。そして、その直後に
「ごめんなさーーーーーーーーーーい!」
とペアプレイヤーに対して謝っていた。

そうか、そういうことか、と思った瞬間だった。
「こうしちゃいけない」ということを理解した、言い換えると「どうプレイすれば」いいかの軸が分かったのだ。と同時に、アシストしてくれていたペアプレイヤーへの申し訳なさも溢れてきた。悔しいゲームはいいゲーム。こうなると俄然面白くなってくる。

そこから先は少しでもこのゲームを理解してやろう、と目の色が変わった。

・強い手駒の時は、容赦なく確実に勝って点数を詰み上げる。
・相手が強気に攻めている時は、無理に受けずに流れを切らないように。
・弱い手の時はあきらめて相方の手を邪魔しないようにそっとフォロー。
それでも負ける時は負けるので気にしすぎない。
・「王」で受けられない「香」は3つ以上持っているととても強い。
・いくら強い手でも、受けないことには攻められない。

などなど、短時間でいろいろなことを吸収していった。相手に無言の意図が通じて勝利し、思わずハイタッチする経験も何度かできた。それはとても気持ちのいいものだった。

ゲーム大会が終了し、たっぷり『ごいた』を堪能した後に考えていたことは、面白いゲームを遊んだ後に出るお決まりの一言、「買おう」だ。

ほどなく、すごろくやでピグフォンのカード版を購入。当然ゲーム会で何度何度も遊んだ。しかし、ごいた大会で中道先生と遊んだ時の竹の駒の感触が忘れられず、結局ねこまどショップで竹の駒に手を出し、今に至る。まだまだプレイヤーとしては甘いレベルなので、とにかく場数を踏んでレベルアップしていきたくて仕方ない。いまやすっかり『ごいた』ジャンキーだ。

配牌による偶然性が高いのは確かだけれども、得点制だったりペア戦だったりするところがそれらを補って、非常に遊びごたえのある良いゲームだと言っていいだろう。

興味を持たれた方は「遊びたい!」と言っていただければ、竹の駒持参でいつでもお相手いたしますよ!
ゲームとしての面白さももちろんながら、竹の駒の感触はフィジカルな快感を刺激します!!

ごいた(Wikipedia) 細かいルール・各種リンク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%94%E3%81%84%E3%81%9F
カード版ごいた(ピグフォン)
http://pigphone.web.fc2.com/new_goita.htm
竹製ごいた(ねこまどshop)
http://item.rakuten.co.jp/nekomado/game-003/